【No.1131】 今こそ文化の力

5月3日の沖縄タイムスに元読谷村長、前参議院議員の山内徳信さんの
回顧録が掲載されていました。
山内徳信さんは僕自身とても尊敬する人物のおひとりですが、
今回の回顧録の内容も感銘を受けました。


文化こそ人間に夢と希望、誇りを与える
1972年の本土復帰後、沖縄経済や社会は世替わりの渦中にあった
・・・沖縄中が「海洋博」ブームに浮かれていた。
企業の論理が、地域の論理と一致するとは限らない。
まして、一過性の海洋博ブームに惑わされる必要なないと思っていた。
そこで私は、ひと味違う内発的な「島起こし」「ムラ起こし」「マチづくり」運動を提唱した。
読谷村には、これだけのお金がある、あるいはこれだけの基地があるといっても、
それを誇りにすることはできない。しかし、私たちの村には、ほかにはない素晴らしい
文化があるということは村民の大きな誇りになる。

この回顧録に書かれていることは、今の沖縄にもそのまま当てはまるのではないかと思います。
変わらぬ基地の存在、基地押しつけというムチに対する過剰なほどの補助金などのアメ。
そして、1000万人の入客に向けて突き進む沖縄観光。
これらの事が重なって、沖縄にはまたいろいろな箱物とか観光施設がどんどん造られています。
そしていよいよカジノまでつくろうという話まで持ち上がっています。
補助金自体が悪いのではありません、観光が悪いのではありません。
どちらも必要なものです。
その補助金は何が理由で出されているのか?その額は適正なのか?
何に使われているのか?どんな効果があったのか?
観光客は沖縄に何を求めて来ているのか?その根源は何なのか?
この事を考えた時に、山内徳信さんが書かれているように、
文化の力、その土地に暮らす人の誇り、内発的な地域づくり
ここが大きなキーワードになると僕は思います。
短期的、そして経済、企業の論理だけで地域づくりをするのはとても危険です。
今まさに内発的、持続的に発展する地域づくりのあり方を考える時期に来ていると思います。