【No.1383】 片隅に置かれていた赤瓦

昨日、沖縄南部の与那原にある工場に行きました。
そこに置かれていた昔の赤瓦。
ちょうど軒先に取り付ける飾瓦です。中心には牡丹の花があります。



いつ焼かれたものかは定かではないのですが、
このゴツゴツした瓦の表情からみて、完全な手作りで、
しかも登り窯で焼かれていたものでないかと思われます。
とっても素敵です。
平瓦と丸瓦の組み合わせで瓦を葺いていく本葺瓦。
今では全国的に波形の平瓦に変わってしまいましたが、
沖縄ではこの本葺の赤瓦屋根がまだ残っています。
屋根に奥行きが出て力強い本葺瓦。
さらに沖縄では、台風から瓦を守るために漆喰で塗り固められているため、
赤と白の色彩も見事です。



柳宗悦も「琉球の富」の中で、
『沖縄のものはその形や厚みや肌や色において、申し分ないものなのです。』
と書いています。
しかし、そんな赤瓦も段々と少なくなっているのが現状です。
赤瓦からコンクリート製の瓦へと移行し、
今では建築も箱形のコンクリートになり、瓦自体が無くなってきています。
建築コストや強度、メンテナンスを考えると、確かにそれが時代の流れかもしれません。
日々の暮らしは確かに効率の追求もしていかなければならないのですが、
何とかこの赤瓦というモノづくり、そして赤瓦のある沖縄の風景をこれから先も残していけない
ものかと思うのです。