【No.497】 たまには詩でも。。

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たまには詩でもどうぞ。。
 「ぼろぼろな駝鳥」
 何が面白くて駝鳥を飼ふのだ。
 動物園の四坪半のぬかるみの中では、
 足が大股過ぎるぢゃないか。
 頚があんまり長過ぎるぢゃないか。
 雪の降る国にこれでは羽がぼろぼろ過ぎるぢゃないか。
 腹がへるから堅パンも食ふだらうが、
 駝鳥の眼は遠くばかりを見てゐるぢゃないか。
 身も世もないように燃えてゐるぢゃないか。
 瑠璃色の風が今にも吹いてくるのを待ちかまへてゐるぢゃないか。
 あの小さな素朴な顔が無辺大の夢で逆まいてゐるぢゃないか。
 これはもう駝鳥ぢゃないぢゃないか。
 人間よ、
 もう止せ、こんな事は。

     (高村光太郎-「道程」より)