【No.786】 今回の沖縄タイムスコラムについて

今日の沖縄タイムス、オフィスの窓からを担当させていただきました。
今回のテーマは「想い」と「数字」について。



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沖縄への「想い」を基盤に
「琉球の自立を目指す」という創業者の想いからスタートした沖縄物産の流通。当然ですが、会社を継続・発展させるためには売上、利益が必要です。この「想い」と「数字」が両輪となって会社は前進します。この両輪のバランスをどう保つのかがとても重要です。
 まず「想い」については、採用の段階でスキル以上に会社の想いに合うかどうかを重視し、最低3回の選考を行います。月1回始業前の6時59分から早朝勉強会を実施して、会社の考え、沖縄の歴史や現状についての学習を15年以上継続しています。
 また、同じく月1回、就業時間後に社員が居酒屋に集まって「ゆうばんゆんたく会」を実施し、飲食をしながらテーマを決めて意見交換します。さらに、昨年からは月1回の研修で、沖縄の年中行事や伝統文化を学ぶ時間を設けました。これは、私たちの経営目的のつである「琉球の文化・祈りに深く学び、それを事業にする」という想いを社員と共有するためです。
 もう片方の車輪である「数字」についても、昨年から会社の数字をオープンにする事をはじめました。フルタイムだけでなく、パートタイム、アルバイトも参加する全社研修の中で月次決算報告という形で実施しています。
 会社の売上、利益だけでなく、経費を含めた勘定科目すべてを公開し、会計担当者と私が解説します。経営者としては社員に数字をもっと意識してほしい。そうであれば、経営状況をオープンにしなければ、社員も数字をベースにした仕事はできません。
 本当の意味での効果はまだこれからですが、最近では費用の発生する案件に対し、社員同士でシュミレーションを行い、議論をしてから、私に相談が来るようになってきました。会社の数字をオープンにし、何よりも「想い」でつながっている信用があるからこそできることだと自負しています。
 「想いで飯が食えるのか」という声も聞きます。しかし、数字だけで想いがなければ継続・発展する経営はできないと思います。この想いと数字を両輪としたやり方を今後もさらに追求し、沖縄の工芸、そして沖縄の活性化に貢献したいと思います。
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僕らの場合、沖縄のモノづくりで商売をしていると、どうしても引っかかるのが利益率です。
特に沖縄の工芸品については、利益を出す事が難しいジャンルです。
なので、最初は沖縄の工芸品を取り扱っていても、利益をもっともっとと追求しようとなった時、
よくあるパターンが、製造や仕入を安価な海外からの輸入にシフトするというものです。
こうすれば、利益率が沖縄製に比べてはるかに跳ね上がります。
自分の利益だけを考えるならば、当然苦労をして沖縄製を売るよりも、
海外製品を売った方が良いに決まっています。
しかし、地場産品でこれをやってしまうと、販売している当事者は儲かるかもしれませんが、
地元の産業は衰退してしまうのは当然です。
この想いと数字のバランスについては、非常に重要な考え方だと思っています。
ただ数字だけを追求して、「儲かればいい」という商売に、僕は興味がありません。
あと想いがあっても、その想いが自分のためとか、自社のためだけという想いにも賛同できません。
想いで飯を食う、きれい事だと言われても、きれい事でここまで商売として成り立つんだという
ことを証明したい。モデルケースをつくりたいと思います。
Keep Walking !