【No.1412】自然に寄り添ったモノづくり②
時刻は午前9:00
いよいよ窯に火が入ります。
各工房の親方達がお猪口に入った泡盛を一口ずつ飲んだあと、
窯に泡盛を捧げて祈りを捧げます。
ここで使われていた泡盛は地元大宜味村、田嘉里酒造のものでした。
ちなみに今回は特に理由があって、火入れをこの日時というわけではないのですが、
工房さんによっては月の動きに合わせている方もいるらしく、
その場合は、干潮の時刻に火を入れる事が多いそうです。
そうする事によって、これから潮が満ちてくるという事で縁起が良いのだとか。
旧暦をベースに暮らしてきた沖縄ならではの火入れのタイミングかもしれません。
さて、まずは焚口に火を入れ、ゆっくり窯の中を乾燥させていきます。
火が入ると、各工房さんが当番制で火の番をします。
火力を確認しながら、10分前後の感覚で薪を入れていきます。
その他の工房の方は、これからの作業に備えて薪を準備するなど
火を入れた後もかなりせわしなく動いています。
この作業を続け、ゆっくりと窯の中を乾燥させながら温度を上げていきます。
やがて夜になり、静寂と暗闇に包まれたやんばるの山の中に
窯の炎の光と、パチパチと薪が焼けていく音が響き渡ります。
窯に火が入っている間は、昼夜問わず5時間交代で職人さん達が火の番をします。
じっと窯の火を見つめる姿は、窯と無言の対話をしているかのよう。
深夜0時、
次の担当になる職人さんがやってきて、窯の状況をお互い確認します。
会話は少なめ、常に意識は窯に集中させています。
約12時間後、乾燥したタイミングを見計らって、焚口に大きな薪を投入し、
一気に窯の温度を上げていきます。
大きな薪を投入すると、窯から一気に黒い煙が上がります。
これまで窯とじっくり対話をしていた状況から一変し、
窯との格闘!?が始まります。