【No.1460】染織業界。次の30年に向けた、これから10年の取組み

今週は国の機関が主催する、沖縄の染織の今後を考える会議に参加させていただきました。
国の伝統工芸品関係、沖縄県、作り手、売り手ほか、10数名が出席しました。
まずはそれぞれの立場から、沖縄の染織業界の現状と課題についての話。
あらためてデータを見ると、生産額がピークに比べて半分以下、染織のジャンルに
よっては90%の減少と、かなり厳しい状況です。



今回僕からお話しさせていただいた大まかな内容ですが、
注目すべきは、売れているのに生産額が減少しているという事。
他産地では、売れなくなった事で発生している問題が多いのですが、
沖縄では売れているにも関わらず、生産額が減少しているという事です。
これは作り手の労働に対する収入が少ない事です。
時給換算すると、500円とか250円とかという話が今回も出ました。
しかも、作り手のほとんどは社会保障はありません。
もらった手取りから年金や保険の支払いもしなくてはいけません。
そうなると、モノづくりではなく、パートタイマーなど他の仕事をせざるをえないのです。
そして、この収入の少なさの大きな原因が、現在の着物関係市場の流通構造にあります。
作り手の収入は、今の2倍以上にしていかないと、これから確実に後継者はさらに減少していきます。
一番怖いのが、現在60〜70代くらいのみなさんが引退される時です。
このタイミングで一気に作り手、生産額が減少します。
そうならないためには、
「流通の構造改革」と「業界の意識改革」が必要です。
「流通の構造改革」は、作り手が作る事に集中しつつ、
収入が2倍以上になる流通を作り手、売り手で再構築していく事です。
現在の「県外、流通主導のシステム」から、「沖縄、作り手主導のシステム」
に変えていく事を意味します。
そのためには、作り手、組合のみなさんが、今の流通を変えていくのだという
覚悟がまずは必要です。
「業界の意識改革」は、
作り手、組合、売り手、行政等の関係者が、共通の問題認識、将来ビジョンを描いていく事です。
特に作り手、組合での意識改革にまず時間を費やして、じっくり議論して共通認識を持たないと、
その後に色々な取り組みをしても、なかなかうまくいきません。



これらの行動を起こして、業界が変わっていくには、10年はかかると思います。
作り手の年齢構成も考えると、もう待ったなしです!
この変革のためには、僕自身、ゆいまーる沖縄も何かしらの形で一緒に取組みをしたいと思います。
そして、民間では難しい部分は、行政のチカラも必要になります。
行政の方々も、むやみに商品開発や販路開拓といった良くある施策だけではなく、
本質的、根本的に業界を変えていく部分に予算を投入していただきたいと思っています。
こうやって、各関係者が同じ問題意識とビジョンを持って取り組んでいけば、
作り手が将来に希望を持った産地を作ることができます!
次の30年に向けて、今から勝負の10年です。