【No.1540】伝統工芸こそもっと経済を考えるべき

先日、織物、染物、焼物といった沖縄の工芸職人さん達と県外研修に行ってきました。



東京で草木染めのブランドを展開されているmaitoさん。
そして東京デザイナーズビレッジでは、TERAIcraftmentのブランドを展開されてる武市さんのお話と、鈴木村長に売れるための仕組みづくり、ファンづくりについての講話、ワークショップを開催していただきました。今回ご協力いただいたみなさん、本当にありがとうございました!




みなさんモノづくりはもちろんですが、売るという事も突き詰めていますねー



僕があらためてこの研修で感じたのは、
「伝統工芸*こそもっと経済を考えるべき」という事です。
*「工芸」ではなく、ここではより象徴的な呼び方として、あえて「伝統工芸」と言います
伝統工芸業界で経済とかお金の話をすると、「お金のためにやっているのではない、モノづくりが好きでやっている」、もしくは「工芸文化を継承するためにやっている」というような声を聞くことがあります。
しかし、衰退している業界だからこそ、むしろ成長市場の業界以上に「どうやって売上を上げるのか」、「収益を出すのか」を考える必要があると思います。
伝統工芸の業界は、昨今の手仕事ブームで何となくいい感じ(?)でメディア等によく紹介されていますが、実際の現場は本当に大変です。最低賃金以下の労働環境、社会保障もないケースは当たり前のようにあります。これが伝統工芸以外の業界だったらかなり大きな問題になると思うのですが・・・
まあ、働いていれば悩みや不安は誰でもあると思いますが、伝統工芸に携わっている人達の悩みや不安は本当に深いのです。その中で大きなウェイトを占めるのが経済(売上や利益、お金)であり、沖縄の伝統工芸業界にある生産額減少、従事者人数減少、後継者問題、原材料不足といった諸問題も業界内の経済が回らなくなっている事が最大の原因です。
このような状況から、伝統工芸業界は「経済」について本気で考え、具体的な行動(変化)を起こす事が早急に必要です。
そこで大切な事は、「何のために売上、利益を上げるのか」という事です。



僕は、これから日本が少子高齢化、都市部への人口集中、おひとりさま、空き家、地域産業の衰退、地域コミュニティーの弱体化など、人口減少に伴う様々な社会問題が表面化する中で、これまで以上に地域の文化、アイデンティティーが重要視されると考えています。
伝統工芸はまさに地域文化、アイデンティティーを構成する要素です。沖縄では、やちむん(焼物)や琉球ガラスは食文化と、染織は組踊や琉球舞踊、地域の芸能文化と深い関わりがあります。
そんな素晴らしい文化に関わっている人々、伝統工芸に携わっている人々が経済的に厳しい状況では、文化はさらに衰退していきます。文化の衰退は地域の衰退です。
経済が目的ではなく、地域文化を育んでいくために経済を追求していく。
そのために僕らゆいまーる沖縄も業界のみなさんと共に考え、行動していきます!
作り手のみなさん、引き続き共に頑張っていきましょうねー!