【No.937】 八重山の教科書について

八重山で中学公民教科書が一本化していない件で、
下村文科相が沖縄県の教育委員会に対し是正要求を指示したとの事。



 昨日の沖縄タイムス社説です 
社説[教科書是正要求]政治的介入を撤回せよ
特定の教科書を使え、と言っているようなものだ。教育に政治的イデオロギーを持ち込み、教育の名とはおよそかけ離れた要求である。国が教育現場に強権的に介入していると受け止めざるを得ない。国の介入は抑制的でなければならないという大原則に反し、離島の小さな町の地方自治に対する露骨な圧力だ。
 八重山地区3市町のうち竹富町が他の2市町と異なる中学公民教科書を使用していることに、下村博文文部科学相は地方自治法に基づく是正要求を県教委に指示した。採択地区ごとに同一教科書を使うよう定めている教科書無償措置法に違反するというのが理由だが、政治的な効果を狙った強引な印象を禁じ得ない。
 是正要求を指示するには、市町村教委が担当する事務処理で、法令違反があるか、著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認められなければならない。従わなくても罰則はない。
 2011年8月、3市町教委の諮問機関である八重山採択地区協議会は公民教科書について「新しい歴史教科書をつくる会」の流れをくむ保守色の強い育鵬社版を選定し、3市町教委に答申した。
 会長の玉津博克石垣市教育長が非民主的な方法で選定手続きを次々と変更した結果だった。育鵬社版は推薦さえされていなかった。
 反発した竹富町教委は教科書の採択権限は各教委にあると規定する地方教育行政法に基づき東京書籍版に決めた。
 協議会の答申に強制力はない。下村氏が竹富町を違法状態というなら同一教科書を使っていない石垣市、与那国町も違法状態である。
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 文科省は選定過程が不透明で「育鵬社版ありき」の協議会の結論を重視。竹富町は教科書無償配布の対象から外れたため、住民らが寄付金を集め教科書を購入し、町教委に寄付。生徒に無償で届けられている。東京書籍版の使用は、2年目に入り、町教委は来年度も継続する考えだ。
 一連の竹富町教委の行為は先に挙げた地方自治法の是正要求の要件を満たすだろうか。町教委には何ら瑕疵(かし)はないというべきである。
 地方教育行政法にも文科相による是正要求の条文があるが、児童生徒の教育を受ける機会が妨げられたり、教育を受ける権利が侵害されたりしていることが明らかな場合を要件としている。
 竹富町では教育を受ける権利が侵害されていることはない。地方自治法で是正要求を指示せざるを得なかった下村氏の対応が、いかに無理筋であるかがうかがえる。
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 民主党政権は竹富町教委の対応を容認してきた。是正要求の指示は戦後教育の改革を掲げる安倍晋三首相の再登板とも無関係ではあるまい。
 県教委は23日に会議を開き、対応を協議することにしているが、是正要求の指示を竹富町教委にそのまま下ろすのか。指示に不服があるとして国の「国地方係争処理委員会」に審査を申し立てるのか。
 県教委には事実関係をあらためて検証してもらいたい。おのずと竹富町教委の正当性が明らかになるはずである。



僕も今回の教科書是正要求は、教育現場に対する政治的介入だと思います。
正式な手続きを踏まず、密室で行われた保守色が強い育鵬社の教科書を選定した事
自体にも問題があるし、政治的な意図を感じます。
ただでさえ沖縄に関する記述がほとんどない教科書。
だからこそ沖縄に関する内容の一文が非常に重要なのです。
歴史に「正しい」、「間違い」という事はないと思います。
これは、考え方によってどちらにも変化します。
歴史をどういった考えで捉えるのか?
その考えを作る教科書の選定は非常に需要です。