自立に向けたカネの使い道を・・・
お元氣様です!
昨日の沖縄タイムスの社説は一括交付金に関する話題だった。
今年沖縄は、日本復帰40年の節目を迎える。
「ヤマトとの格差是正」、「自立型の経済の構築」へ向けて、
今まで約10兆円の予算が投下された沖縄。
しかし、未だに自立にはほど遠い状況にある沖縄。。
今回の異例ともいえる増額された一括交付金。
このオカネは一体どのように使われるのでしょうか?
■沖縄タイムス 2012年1月16日 社説
【[一括交付金]「満額回答」に潜む課題】
私たち有権者が、知事や市町村長に期待するのは「地域を豊かにすること」だろう。その手段として「国(や県)からより多くのカネをもぎとってこられる人」が、「できる政治家」だという意識に染まりがちなのは否めない。
そうした有権者の負託に応えようと、仲井真弘多知事も新年度の沖縄関連予算の政府折衝に臨んだに違いない。年末に10日間も東京滞在し、有力閣僚らと密室協議を重ね、政府から「満額回答」を引き出した知事の政治手腕は称賛に値することになる。だが、ことはそう単純ではない。
予算を確保しただけで地域の「豊かさ」が保障され、持続できるわけではない。何を使ってどんな豊かさを目指すのか、予算を割り当てる政策の中身こそが問われている。
知事と41市町村長が一括交付金の配分を協議する「沖縄振興会議」(仮称)が近く発足する。気になるのは県の企画・財政担当者から「どうやって使い切ろうか」との懸念が漏れていることだ。
今回の沖縄予算でハード一括交付金は約770億円、ソフト一括交付金は約800億円。仮にすべて補助率90%とした場合、県の裏負担は157億円に上る。これを県と市町村で配分すると、財政力の弱い過疎地や離島の市町村は裏負担分の捻出がさらに困難になることが想定される。
過去にも、沖縄米軍基地所在市町村活性化特別事業など「予算ありき」の事業を活用し、維持管理コストなどに窮する自治体が出た。国の予算消化のため、自治体財政の悪化を招いては元も子もない。
全国で予算の分捕り合戦が展開できる時代ではない。地方には自律的発展に向かう施策を自ら提示し、政府には費用対効果を十分吟味して予算を振り分ける公平さと慎重さが求められている。密室での駆け引きではなく、政策立案と遂行能力が政治手腕として評価される時代だ。
今回、県は2937億円という高額予算を得たが、うち773億円余は首相特別枠の「日本再生重点化措置」から捻出され、再来年度以降の安定財源の確保には至らなかった。全国に先駆けて一括交付金を導入する県に求められているのは、制度を安定化させるための配分ルールの明確化だったはずだ。京都府立大の川瀬光義教授が指摘するように、沖縄の場合、島しょ県としての特殊事情を反映させるよう、同様の不利条件にある全国自治体と連携し制度化に努めることこそ、交付金を安定的に確保する王道である。
明確な配分ルールが定まらない限り、年末には再び知事が密室で「政治決着」を求める場面が繰り返されるのは濃厚だ。そのとき知事は政府からどんなカードを切らされるのだろうか。
仲井真知事は「普天間飛行場の県外移設」の公約を守ると繰り返している。県民にとっても、今回の予算措置が「基地受け入れとの取引」とみなされるのは心外である。そのためには、沖縄振興予算が政権の基地政策の比重によって左右されるべきではない、という視点に、私たち有権者がまず立つ必要がある。