【No.1529】ゆいまーる沖縄は創業30年。改めて「ゆいまーる」の意味を考える。

本日、4月1日はゆいまーる沖縄の創業記念日。
1988年に創業者の玉城幹男が、「琉球の自立に寄与する」という経営目的を掲げ、那覇市首里のアパートで会社を設立してから満30年になりました。


創業間もない頃の首里の店舗兼事務所です。

ちょうど創業当時に玉城の書いた文書の中から一部を抜粋します。
『沖縄にはまだまだ世界に誇りうる自然・文化・沖縄経済があります。市場経済の拡大のために画一化・均一化されつつある日本のなかで人間復興のてだてをまだ沖縄は持っていると確信します。
そのてだては、ひとつに人間と長く共存してきた自然、ふたつに沖縄の宗教(生き方)、みっつにゆいまーる(共同体)、と考えます。どれもが危機に瀕しているのは事実ですが、我々の存在を変革しうる力も持っていると信じるのです。
これから提起するのは、上記の思いもこめて、沖縄経済の自立運動に微力ながら参加する具体的方法です。現代の経済と対峙しえるのはゆいまーると信じ、この沖縄の経済方法を基本としながら、競争原理で動く現実の経済に負けない企画と皆と一緒に考えてみたいと思います。』

「沖縄産品愛用運動・会社設立案」より


この文書が書かれてから30年が経過しました。世の中を見渡すと、資本主義は行き詰まり、出口の見えないトンネルに入っているにも関わらず、それでもなお過度な経済成長を追い続けています。
現代資本主義を維持しようとするために世界では争いが絶えません。しかし、戦争によって遠い地域で苦しむ人々の様子をテレビや雑誌、ネットを通じて観る時、戦争の悲惨さや残酷さは感じても、戦争と自分達の暮らしの関係性については、想像力が働いていない事が多いのではないでしょうか。僕はそのような状況を見て、経済はグローバルにつながっているが、人々の心は分断されているように思えてなりません。
遠い地域で暮らす人々、さらに子や孫の世代といった未来の人々に思いをはせ、想像力を働かせる行為は、「今後どのように豊かになっていけば良いのか」を考えるきっかけになります。これまでのような金と物が中心の豊かさではなく、心をベースとした豊かさへの価値転換が求められています。
この価値転換に必要なキーワードの1つが「ゆいまーる」だと思います。「ゆいまーる」は、かつて親族や集落の人々が集まり、農作業など労働交換の時にこの言葉が使われていました。今でも助け合いや、つながり、共同体といった意味合いで、沖縄の人々に受け継がれています。



 沖縄では、このような人々とのつながり、そして自然や祖先とのつながりを大切にしています。この「つながり」は、自分は生かされているという価値観にも通じる重要なキーワードです。世界で起きている愚行を少しでも減らしていくためにも、自然、地域、人々がつながりを取り戻していく事が必要です。そのために、沖縄は本来持っている「心をベースとした豊かさ」、「つながり」を発信する重要な役割を担っている地域です。



私達は、現代社会において「ゆいまーる」という言葉の意味を改めて考え、これまで事業のベースにしてきた沖縄工芸・食品の企画、流通にとどまらず、沖縄の価値を創造する様々な取組みにチャレンジし、世の中に対して沖縄の持つ価値観を発信していきます。
最後になりましたが、この間ゆいまーる沖縄を創り上げてくださったみなさま、商品を仕入れさせていただいる、工房・メーカーのみなさま、販売をしてくださっているみなさま、ゆいまーる沖縄を応援してくださっているすべてのみなさまに感謝致します。
いっぺー にふぇーでーびたん(本当にありがとうございました)。そして、今後ともゆたさるぐとぅ うにげーさびら(よろしくおねがいいたします)!