【No.1545 】#クラフトオキナワ No.1 琉球びんがた工房ちゅらり

*毎週土曜日に沖縄タイムスで連載させていただいている#クラフトオキナワ。伝統を大切にしながらも新しさを取り入れた「工芸進化のカタチ」を発信しています。

国の伝統的工芸品にも指定されている沖縄の染物「琉球びんがた」。三浦敦子さんは2012年に琉球びんがたの後継者育成支援事業を受けた後、やふそ紅型工房で修行し、現代の名工でもある屋富祖幸子氏に師事します。その後、沖縄県工芸振興センターの高度技術者養成紅型研修を経て、2017年に琉球びんがた工房ちゅらりを設立しました。工房名の「ちゅらり」は、沖縄のちゅら(美しいモノ・コト)をはんなり(上品な華やかさ)表現していきたいという想いが込められています。

普段は呉服市場向けに、着物用の反物や帯を中心に染めていますが、着物を身につける機会がない人や、若い世代にも琉球びんがたの魅力を伝えていきたいと、服飾雑貨など普段使いできるアイテムの製作も行っています。

中でも特に人気のシリーズがモノトーンびんがたCREW(クルー)。伝統的な流水や、沖縄らしい島バナナがデザインされ、バッグやストール、パスケースなど、普段使いできるアイテムが揃っています。CREWは、沖縄の言葉で黒を意味します。琉球びんがたといえば、赤や黄色など南国らしい多彩な色が特徴のひとつですが、このシリーズは色彩をあえてモノトーンで表現したところが大きなポイントです。モノトーンにする事で日常の様々なシーンに合わせられ、特にこの色合いだと男女を問わず身につける事もできるため、着物を着ない人や、これまで琉球びんがたを知らなかった人々にも浸透し、沖縄県内外のセレクトショップや雑貨店など、呉服市場以外の新たな販路も開拓する事ができました。