【No.1527】2018年 文化と経済を融合させていく

みなさま、いい そーぐゎち でーびる(あけましておめでとうございます)。
旧年中は、関係者みなさまに大変お世話になりました。いっぺーにふぇーでーびたん(本当にありがとうございました)。
2018年も観光、建設業界が共に好調で、沖縄の景気は好調を維持しそうですね。ただ、私たちが特に深く関わっている工芸業界もそうですが、現在の景気の良さは、東京オリンピックや工芸ブームといった外的要因によるものがとても大きく、中期的に見ると楽観視はできないなと感じています。
さらに今年は沖縄県知事選をはじめ、各市町村の選挙も行われます。沖縄の人々がが沖縄の未来を選択する重要な1年になりそうです。



さて、新年にあたって沖縄の事、会社の事について思いを巡らしている時に、ふとテレビから沖縄民謡の「ヒヤミカチ節」が聞こえてきました。この唄は、沖縄戦で荒廃した沖縄と人々の心を奮い立たせた曲で、今でもたくさんの人によって歌い継がれ、また高校野球の応援歌にも使われるなど、沖縄では身近な民謡のひとつですね。
【ひやみかち節】
 *ひやみかち:目を覚ます、エィ!と気合を入れる、立ち上がる」
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1.名に立ちゅる沖縄 宝島でむぬ 心うち合わち うたちみそり
(名に立つ沖縄 宝島だから 心をひとつに合わせて 立ち上がりましょう)
ヒヤ ヒヤ ヒヤヒヤヒヤ ヒヤミカチウキリ ヒヤミカチウキリ
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2.稲粟の稔り 弥勒世ぬ印 心うち合わち 気張りみそり
(稲粟が実り 豊年の世の予兆 心ひとつに合わせ がんばりましょう)
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3.音楽がくやないしゅらさ 花や咲き美らさ 我した此ぬ沖縄世界に知らさ
.(ガク(音楽)は鳴りかわいらしい 花は咲き 美しい 私たちのこの沖縄世界に知らせよう)
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4.人の取ゆる年ぬ んぱんぱぬなゆみ うびらじに取たさ六十ばんじゃ
(人の取る年は 避けられないもの 気づかない間に取ったよ60歳)
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5.我や虎でむぬ羽着けてたぼり 波路パシフィック渡てなびら
(私は虎だから 羽をつけてください 波路太平洋渡りましょう)
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6.七転び転でひやみかち起きり 我したこの沖縄世界に知らさ
(七回転んでも沖縄は「エイ」と起き上がるぞ 私たちのこの沖縄を世界に知らしめよう)
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改めて聴いてみると、本当に素晴らしい歌だなと思います。現在はこの歌が生まれた時代と状況は異なりますが(ただ日本における沖縄の置かれた状況は本質的に変わっていないと思います)、経済が好調な時だからこそ、足下にある宝物を見つめ直し、沖縄が主体となった本質的な地域の成長に繋げていく時です。
そのベースとなる考えが文化と経済の融合です。これまでは経済が成長すれば文化は衰退するという関係性でした。しかし、これからは文化と経済が共存する、もしくは文化が経済を牽引する時代になるとも言われています。工芸、食、芸能、祈りといった多種多様な文化が存在する沖縄のソフトパワーが発揮される時代に突入しています。
だだし、量を追いかけるこれまでの経済成長モデルでは、下手をすると文化を破壊してしまう事にも繋がりかねません。これからの文化経済、文化産業形成のためには、文化に軸を置いた上で経済とミックスさせるという価値転換が必要になります。ビジネスの世界に文化への理解とセンスが必要とされ、逆に文化の世界にもビジネス知識と発想が求められます。



物価の上昇、人口減少、世代交代など、これまでの方法で文化を継承していくのが困難になっている事を考えると、特に工芸や芸能という文化の世界にビジネス知識と発想をどう取り込んでいくのか、ここが重要な取組みになると思います。
ゆいまーる沖縄の経営目的の1つに、「琉球の文化・祈りに深く学び それを事業にする」という文言があります。
2018年はこの経営目的を再認識し、今後は流通というスタイルにとどまらず沖縄の価値を創造する活動を通じて、沖縄に貢献していきたいと思います。
本年もゆたさるぐとぅ うにげーさびら(よろしくおねがいいたします)。